JFEエンジニアリングが来島海峡大橋の耐震補強工事を受注|摩擦ダンパー・制振ダンパーで巨大地震に備える

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2026年7月7日、JFEエンジニアリングは、本州四国連絡高速道路株式会社が発注した「来島海峡大橋耐震補強他工事」を受注したと発表しました。

来島海峡大橋は、瀬戸内しまなみ海道を構成する世界初の3連吊橋です。

今回の工事では、既設のセンターステイとサイドステイを高減衰性能の摩擦ダンパーへ取り替えるほか、制振ダンパーの新設、支承部の補強などが行われます。

南海トラフ巨大地震などの大規模地震に備え、橋の損傷や落橋のリスクを抑え、地震後の迅速な供用再開につなげる大規模な耐震補強工事です。

来島海峡大橋耐震補強他工事の概要

公式発表で公表されている主な内容は、次のとおりです。

項目内容
工事名来島海峡大橋耐震補強他工事
発注者本州四国連絡高速道路株式会社
受注者JFEエンジニアリング株式会社
工事場所愛媛県今治市上浦町~愛媛県今治市砂場町
契約金額43億5,600万円(税込)
工期2026年8月1日~2029年10月13日
工期日数1,170日間
主な工事摩擦ダンパーへの交換、制振ダンパーの新設、支承部の補強など

契約金額は、公式発表の「4,356,000千円」を円換算すると43億5,600万円です。

約3年2か月に及ぶ長期工事となります。

来島海峡大橋とは

来島海峡大橋は、愛媛県今治市の大島と四国側を結ぶ吊橋です。

1999年に開通し、次の3橋で構成されています。

橋梁全長
来島海峡第一大橋960m
来島海峡第二大橋1,515m
来島海峡第三大橋1,570m

3橋を合わせた全長は約4kmです。

自動車専用道路だけでなく、原動機付自転車、歩行者、自転車が通行できる道路も併設されています。

本州と四国を結ぶ交通インフラであると同時に、島しょ部の生活道路や、しまなみ海道のサイクリングルートとしても重要な役割を持っています。

JFEエンジニアリングは、来島海峡第三大橋の建設にも共同企業体として携わっています。

新設時に関わった企業が、長期間使用されてきた橋の耐震補強にも携わる案件です。

今回の耐震補強で行われる3つの対策

今回の公式発表では、大きく分けて3つの耐震補強が示されています。

センターステイとサイドステイを摩擦ダンパーへ交換

既設のセンターステイとサイドステイを、高減衰性能を持つ摩擦ダンパーへ取り替えます。

センターステイは、橋の中央部で主ケーブルと橋桁を連結する装置です。

サイドステイは、桁の端部に設けられ、温度変化や地震、風などの影響を軽減する部材です。

摩擦ダンパーは、地震や強風によって発生する振動エネルギーを、摩擦による熱エネルギーへ変換して吸収する装置です。

地震時の橋桁の動きを完全に止めるのではなく、揺れのエネルギーを効率よく減衰させることで、橋の主要部材へ加わる負担を抑えます。

制振ダンパーを新設

橋に制振ダンパーを新たに設置し、地震時の振動を制御します。

制振ダンパーは、橋桁や橋脚に伝わる振動エネルギーを吸収し、構造物の損傷を抑えるための装置です。

長大橋では、橋そのものが長く、地震や風による揺れ方も複雑になります。

制振装置を適切に配置することで、橋脚の損傷や落橋のリスクを低減する計画です。

支承部を補強

支承は、橋桁と橋脚・橋台の間に設けられる重要な部位です。

通常時は、温度変化や車両荷重によって発生する橋桁の伸縮や変位を吸収します。

今回の工事では、支承部に補強構造などを設置し、次の機能を高めます。

  • 地震時の橋桁の落下防止
  • 橋軸方向の固定
  • 桁同士が衝突した際の衝撃緩和

支承は橋の上部構造と下部構造の力を伝える部分であり、地震時の挙動に大きく関わります。

ダンパーだけでなく、支承部や落橋防止対策を含めて補強することが今回の工事のポイントです。

南海トラフ巨大地震後の緊急輸送路を確保する

本州四国連絡高速道路は、南海トラフ地震などの大規模地震に備え、代替路のない海峡部の長大橋を中心に耐震補強を進めています。

来島海峡大橋が長期間通行できなくなった場合、一般車両だけでなく、救援物資、復旧資材、緊急車両などの移動にも大きな影響が出ます。

今回の耐震補強は、地震による損傷を抑えるだけでなく、地震発生後に早期供用を再開し、緊急輸送路としての機能を確保することを目的としています。

インフラ設備では「壊れないこと」だけでなく、「被災後にどれだけ早く機能を戻せるか」という視点も重要です。

供用中の長大橋を補強する難しさ

公式発表では、具体的な施工手順や足場、揚重方法、交通規制の内容までは公表されていません。

ただし、供用中の長大橋を補強する工事では、一般的に次のような条件を考慮する必要があります。

  • 道路や自転車道の通行への影響
  • 海上部での高所作業
  • 強風や降雨などの気象条件
  • 既設部材の寸法や状態の確認
  • 重量物の搬入、揚重、据付け
  • 既設構造物を傷めない施工方法
  • 塗装や防食性能の確保
  • 工事中の落下物防止
  • 将来の点検や交換を考慮した構造

新設工事では、施工しやすい順序を計画して部材を組み立てられます。

一方、補強工事では、すでに完成して使用されている構造物に対して、新しい部材を取り付けなければなりません。

現地で確認した既設構造と設計図面との差、経年変化、施工スペースなどを踏まえて調整する必要があります。

プラント設備の改修工事にも共通しますが、既設設備を生かしながら性能を向上させる工事は、新設とは異なる難しさがあります。

JFEエンジニアリングの橋梁技術が生かされる案件

JFEエンジニアリングは、鋼橋の設計、製作、架設、維持管理に携わってきた企業です。

今回の工事では、来島海峡第三大橋の建設に携わった経験に加え、長大橋の維持管理や耐震補強に関する知見が活用されます。

橋梁は完成すれば終わりではありません。

供用開始後も、点検、塗装、補修、部品交換、耐震補強などを続けながら、長期間にわたって機能を維持します。

今回の受注は、新設中心だった大型インフラが、維持管理・更新・耐震化の時代へ移っていることを示す案件でもあります。

まとめ|既設インフラを止めずに強くする大規模耐震補強

JFEエンジニアリングが受注した来島海峡大橋耐震補強他工事は、世界初の3連吊橋を対象とする大規模な耐震補強工事です。

今回のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 契約金額は43億5,600万円(税込)
  • 工期は2026年8月から2029年10月までの1,170日間
  • センターステイとサイドステイを摩擦ダンパーへ交換
  • 制振ダンパーを新設
  • 支承部を補強し、落橋や桁同士の衝突リスクを低減
  • 南海トラフ巨大地震後の早期供用再開を目指す
  • 緊急輸送路としての機能確保につなげる

橋梁やプラント設備などの社会インフラは、建設後も長期的な点検と補強が欠かせません。

既設構造物を使い続けながら、安全性と耐震性能を高める今回の工事は、今後さらに重要になるインフラ保全の代表的な案件といえます。

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参考情報

JFEエンジニアリング|来島海峡大橋耐震補強他工事を受注

本州四国連絡高速道路|橋梁の耐震補強計画

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