木質バイオマスと廃プラからグリーンメタノールへ|荏原環境プラントなど3社が2031年の商業化を検証

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荏原環境プラント、TREホールディングス、三菱ガス化学の3社は2026年9月1日、木質バイオマスと使用済みプラスチックを原料とした「グリーンメタノール」の事業化検証を進めると発表しました。

候補地は千葉県市原市八幡海岸通。

2031年の製造開始を目標に、国内初となる年産数万トン規模の商業生産を目指します。

計画されている原料は年間、

  • 木質バイオマス:約10万トン
  • 使用済みプラスチック:約6万トン

という大規模なものです。

これらを荏原環境プラントのガス化技術で「合成ガス」へ転換し、三菱ガス化学がグリーンメタノールを製造。

化学品原料やエネルギーとして再び社会へ戻す、新しい資源循環モデルの構築を目指します。

「グリーンメタノール」とは?

メタノールは、プラスチックや接着剤などの化学品原料として幅広く利用されているほか、近年では船舶燃料などエネルギー分野でも注目されています。

今回計画されているのは、化石資源ではなく、

木質バイオマス
↓
使用済みプラスチック
↓
合成ガス
↓
グリーンメタノール
↓
化学品・燃料

という形で、国内の循環資源からメタノールを生み出す仕組みです。

日本で使用されるメタノールはほぼ100%輸入に依存しており、3社は地政学リスクへの対応という面でも、国内資源から製造する意義があるとしています。

年間16万トンの木質バイオマス・廃プラを利用

今回の計画で特に目を引くのが原料規模です。

TREホールディングスは、千葉県を中心とした首都圏から、

木質バイオマス:約10万トン/年
使用済みプラスチック:約6万トン/年

を調達する計画です。

合計すると年間約16万トン。

木質バイオマスについては千葉県森林組合と連携し、森林整備計画に基づいた安定供給を目指します。

また、使用済みプラスチックは品質によって分別し、受け入れたものを可能な限りリサイクルする方針です。

単に廃プラスチックを処理するのではなく、化学原料へ戻す「ケミカルリサイクル」の大規模な事業モデルになる可能性があります。

荏原環境プラントが担う「ガス化」

FORGRAFT LABとして注目したいのが、荏原環境プラントの役割です。

TREホールディングスが集めた木質バイオマスや使用済みプラスチックを、荏原環境プラントの高度なガス化技術によって「合成ガス」に転換します。

その合成ガスを三菱ガス化学へ供給し、グリーンメタノールの原料として利用します。

一般的な廃棄物処理では、

廃棄物
↓
焼却
↓
熱回収・発電

というエネルギー回収が中心ですが、今回の計画では、

廃棄物
↓
ガス化
↓
合成ガス
↓
化学原料

というルートになります。

ごみや廃プラスチックを「燃やしてエネルギーを取り出すもの」から、「化学製品をつくるための原料」として利用する点が大きな違いです。

荏原環境プラントは、こうした廃棄物を資源へ変える事業を「アップサイクラー」と位置付けています。

3社の役割は?

今回のプロジェクトでは、それぞれの企業が得意分野を担当します。

TREホールディングス

木質バイオマスや使用済みプラスチックを調達。

メタノール製造に適した状態へ分別・調整して荏原環境プラントへ供給します。

荏原環境プラント

木質バイオマスや使用済みプラスチックをガス化。

グリーンメタノールの原料となる合成ガスを製造し、三菱ガス化学へ供給します。

三菱ガス化学

合成ガスからグリーンメタノールを製造・販売。

製造されたメタノールは化学品原料のほか、船舶燃料などへの利用も想定されています。

つまり、

「集める」TRE
↓
「ガス化する」荏原環境プラント
↓
「メタノールをつくる」三菱ガス化学

という分業です。

廃棄物処理・プラント技術・化学品製造という異なる分野をつなげることで、一つの資源循環ルートを構築しようとしています。

年産数万トン規模、2031年の製造開始を目標

3社が目指しているのは、単なる研究設備や小規模実証ではありません。

製造開始目標は2031年。

規模は「年産数万トン」とされており、3社は国内初となる商業規模でのグリーンメタノール製造を目指しています。

現時点では「事業化検証」の段階なので、正式な建設決定や設備能力、事業費などはまだ発表されていません。

今後、

  • 事業化決定
  • プラントの具体的な処理能力
  • ガス化設備の仕様
  • 建設・EPC体制
  • 着工時期
  • グリーンメタノールの供給先

などが明らかになれば、プラント業界としてさらに注目度の高い案件になりそうです。

ごみ処理施設は「資源をつくる施設」へ変わる?

今回の発表で興味深いのは、廃棄物処理技術の役割がさらに広がっていることです。

これまで、ごみ焼却施設には、

「安全に処理する」

という役割があり、そこへ、

「廃熱で発電する」

という役割が加わってきました。

さらに今後は、

「廃棄物から化学原料をつくる」

という役割が広がる可能性があります。

特に使用済みプラスチックは、単純焼却やマテリアルリサイクルだけではなく、ガス化などを利用して化学原料へ戻すケミカルリサイクルの技術開発が進んでいます。

今回のグリーンメタノール計画が商業化されれば、廃棄物処理プラントと化学プラントの境界がさらに近づいていくことになりそうです。

FORGRAFT LABとして今後も注目

今回の計画は、まだ事業化検証が始まった段階です。

しかし、

年間約16万トンの循環資源を調達し、
ガス化によって合成ガスを製造し、
年産数万トン規模のグリーンメタノールへ変える。

という構想はかなり大規模です。

しかも目標は2031年の商業生産開始。

従来の「ごみを焼却して熱や電気を回収する」施設とは異なる、新しい廃棄物処理・資源循環プラントの形として注目したい案件です。

今後、具体的な設備仕様や事業化決定、プラント建設に関する発表が出れば、FORGRAFT LABでも引き続き追っていきます。

参考・出典

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