カナデビアが品川清掃工場にCO₂回収実証設備を設置|酸素供給で何が変わる?

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カナデビアと東京二十三区清掃一部事務組合は2026年10月5日、品川清掃工場の敷地内に設置した「CO₂高濃度化廃棄物燃焼技術」の実証設備について、竣工式を開きました。

設備には、処理能力2トン/日の焼却炉とCO₂分離回収装置が含まれます。今回のポイントは、焼却後の排ガスからCO₂を取り出すだけでなく、焼却炉に供給する気体を工夫し、回収しやすい排ガスをつくることです。

品川清掃工場の実証設備で何を試す?

カナデビアは、窒素を多く含む空気の代わりに酸素を焼却炉へ供給し、排ガス中のCO₂濃度を高める技術を開発しています。

同社の発表では、従来の廃棄物燃焼における排ガス中のCO₂濃度は約8~15%。今回の技術では、これを30~60%へ高めることを目指します。

CO₂を高濃度化できれば、分離回収装置に送る排ガス量を減らせます。カナデビアは、従来の廃棄物燃焼にCO₂回収設備を追加する場合と比べ、回収設備に必要なスペースの縮小も期待しています。

30~60%は技術開発で目指す濃度であり、完成した品川の実証炉で達成を確認した測定値ではありません。

実証設備の概要

項目公表内容
設置場所東京二十三区清掃一部事務組合・品川清掃工場の敷地内
所在地東京都品川区
焼却炉の処理能力2トン/日
主な設備焼却炉、CO₂分離回収装置など
実証期間カナデビアの発表では2026年11月~2028年3月

この設備は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業における研究開発の一環です。清掃一組の協力を得て、ごみの供給や技術的な助言を受けながら実証を進めます。

「回収率90%以上」は実証炉の成果ではない

カナデビアは、これまでのラボ試験でCO₂回収率90%以上、回収したCO₂の純度95%以上を達成したと発表しています。

一方、品川の実証設備では、実際のごみを処理する条件で、CO₂を安定して回収できるかがこれからの確認事項です。カナデビアは、将来的に高濃度化した排ガスから安定して90%以上の回収効率を実現することを目標としています。

ラボ試験の数値と、実証設備の運転結果は分けて見る必要があります。

現場目線で気になるのは、ごみの変動への対応

ごみ焼却施設では、投入されるごみの量や成分、水分量が一定ではありません。排ガスの量や性状も変わるため、CO₂の安定した回収が課題になります。

今後の発表で注目したいのは、実証炉で測定したCO₂濃度と回収率に加え、条件が変わったときの燃焼・回収の安定性です。酸素供給や分離回収を含む設備全体のエネルギー収支、維持管理の条件も、実用化を考えるうえで重要になります。

現時点で、これらを品川の実証設備で達成したという運転結果は公表されていません。

回収したCO₂はどう使う構想?

カナデビアは将来、回収したCO₂を液化したり、メタネーションの原料にしたりする構想を示しています。ごみ焼却時の熱を使った発電に加え、排ガス中の炭素も資源や燃料に利用する「炭素循環プラント」を目指す考えです。

ただし、今回完成したのは燃焼とCO₂分離回収の実証設備です。品川で回収したCO₂の商用利用が始まったという発表ではありません。

CO₂の利用先を検討する別の事例は、大田清掃工場のCO₂を使ったe-メタン事業化調査で紹介しています。また、排ガスからCO₂を分離する別の技術として、JFEエンジニアリングのMOFを使った実証もあります。

実証開始月は一次資料で記載が異なる

開始時期には、発表元による記載の違いがあります。

カナデビアと清掃一組の2026年10月5日付共同発表では、**実証期間を「2026年11月~2028年3月」としています。一方、NEDOの10月7日付案内には、「2026年10月から実証試験を開始」**と記載されています。

試運転と本格的な実証を区別した日程なのかどうかは、これらの資料からは確認できません。そのため、本記事ではどちらか一方に統一せず、それぞれの発表内容を示しました。

まとめ

品川清掃工場では、酸素供給によってごみ焼却排ガス中のCO₂濃度を高め、分離回収につなげる実証設備が完成しました。焼却炉の処理能力は2トン/日です。

排ガス中のCO₂濃度30~60%は技術開発上の目標、回収率90%以上と純度95%以上はラボ試験の結果です。今後、実証設備での濃度・回収率や安定運転の結果が示されるかを追っていきます。

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