混ざったアルミを板・形材の原料へ|リバーら、比重・X線・レーザー選別を実証

混合アルミスクラップの高度選別と板・形材への再資源化を表した構想イメージ。実証設備の写真ではありません プラントニュース・業界動向

アルミは、集めて溶かせば、どんな製品にも戻せるのだろうか。

実際には、用途ごとに合金成分や品質の条件が異なる。さまざまな製品から回収したアルミを、再び板や押出形材の原料として使うには、混ざった金属や合金を適切に分け、製造側の条件に合う品質へ整える必要がある。

リバー、日本軽金属、みずほ銀行は2026年10月13日、混合アルミスクラップの高度選別と、展伸材用途への水平リサイクルに関する実証事業への採択を発表した。

湿式比重選別、X線選別、LIBSソーターを組み合わせ、選別側と材料を製造する側の条件をすり合わせる取り組みだ。今回は実証計画の発表であり、商用化や目標性能の達成を報告したものではない。

なぜ、混ざったアルミを板材へ戻すのは難しい?

アルミニウム合金は、用途に応じてマグネシウムやケイ素などを加え、必要な性質を持たせて使う。回収したスクラップにも、異なる成分の合金が混在する。

例えば、HARITAが公表している鉄道車両材のリサイクル事例でも、複数の合金が混ざることが、成分規格の厳しい展伸材への再利用を難しくしていたと説明されている。

ここでいう「展伸材」は、圧延や押出などによって板や形材へ加工する材料のことだ。溶かした金属を鋳型へ流し込んで使う鋳物材とは、用途と要求条件が異なる。

今回の実証は、由来や品質にばらつきのある混合スクラップから、展伸材原料として使えるものを国内で回収するための条件を探るものだ。鋳物材向けのリサイクルにも役割はあるが、展伸材へ戻せる範囲を広げることで、資源の使い道を増やす狙いがある。

比重・X線・レーザーで、異なる特徴を見分ける

今回の計画では、リバーの湿式比重選別設備を前処理に活用し、X線選別と最新型LIBSソーターを組み合わせる。

選別方法見分けるために使う特徴
湿式比重選別水などの媒体を使い、材料の比重差を利用する
X線選別X線の透過性の違いを利用する
LIBS選別レーザーによる発光を分析し、元素成分の違いを識別する

LIBSは「レーザー誘起ブレークダウン分光法」の略だ。アルミの合金系を分ける用途にも使われており、HARITAなどが先行する水平リサイクル事例を公表している。

したがって、LIBS選別そのものが今回初めて登場した技術というわけではない。今回の焦点は、性状がばらつく混合スクラップを対象に、複数の選別方法を量産条件で組み合わせ、使える原料として供給する条件を確かめることにある。

なお、採用機器のメーカー・型式や、個々の選別機の処理能力は、今回確認した発表には示されていない。

選別できても、製造側が受け入れられるとは限らない

この実証では、選別後の原料を使った溶解・成分調整・品質評価と、展伸材への適用先の検討を行う。

重要なのは、回収・選別する「静脈側」と、原料を使って製品をつくる「動脈側」をつなぐことだ。

回収側から見れば、より細かく選別するほど工程や費用が増える可能性がある。一方、製造側には、必要な合金成分や不純物などの受入条件がある。どこまで選別すれば使えるのか、どの用途なら受け入れられるのかを、双方で確認する必要がある。

環境省の公募結果でも、選別技術に加え、静脈側の選別条件と動脈側の受入条件を連携して検証する事業とされている。環境省による採択結果の公表は9月14日で、10月13日は企業側による詳細発表の日付だ。

現場目線で、実証結果に注目したい点

設備の導入や運用を考えるなら、選別精度の高さだけで判断することはできない。今後は、次のような結果を確認したい。

  • 原料のばらつき:合金の混在や粒の大きさが変わったときも、同じ品質で選別できるか。
  • 品質と歩留まり:求める成分へ近づけるために、どれだけの材料を回収できるか。
  • 処理量と費用:時間当たりの処理量に対し、運転・保守・選別後の処理費用が見合うか。
  • 製造側での利用:どの板材・形材へ、どの程度の割合で使えるか。
  • 環境効果:選別工程の電力なども含めて、CO2排出量をどれだけ減らせるか。

これらは、すでに達成された性能値ではなく、実証の成果として今後確認したい項目だ。今回の発表では、具体的な処理量、選別純度、歩留まり、CO2削減率などの達成値は公表されていない。

回収した金属を、使える原料としてつなぐ

混合アルミのリサイクルでは、「アルミを回収した」という段階から、製造側が安定して使える原料へ整える段階へ進む必要がある。

今回の実証は、比重・X線・レーザーによる選別と、溶解後の品質評価、受入条件の調整を組み合わせ、そのつながりを確かめる取り組みだ。

今後は、選別精度だけでなく、必要な量を、必要な品質で、採算を保って供給できるかに注目したい。

参考・出典

※本記事は2026年10月18日までに確認できた公表情報をもとに作成しています。HARITAの資料は技術の背景説明として参照しており、今回の実証への参加や機器供給を示すものではありません。アイキャッチは構想イメージであり、実証設備の写真ではありません。

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