三井不動産ら、指宿で地熱実証の掘削完了|二重管で地下熱を回収する仕組み

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三井不動産、新日本科学、ジャパン・ニュー・エナジーの3社は2026年10月14日、鹿児島県指宿市で進める次世代型地熱発電の実証について、必要な掘削工程を完了したと発表しました。

採用するのは、1本の坑井に設けた二重管の中で水を循環させる「同軸二重管型クローズドループ方式」です。3社は今回、この方式による発電の可能性を確認したと説明しています。今後は実証プラントを建設・運転し、技術面と経済面を検証します。

今回、どこまで進んだ?

項目公表された内容
場所鹿児島県指宿市
実施者三井不動産、新日本科学、ジャパン・ニュー・エナジー
方式同軸二重管型クローズドループ方式
今回の進展実証に必要な掘削工程を完了し、発電の可能性を確認
次の段階実証プラントの建設・運転、技術・経済性の検証
目標将来の商用化

**今回の発表は、実証設備の掘削が進んだというニュースです。**新しい方式による発電開始や、国内初の商用運転開始を知らせるものではありません。

発表資料には、今回の坑井の深さ、地下温度、発電出力、建設費、実証プラントの完成時期といった数値は示されていません。

同軸二重管型クローズドループ方式とは

従来の地熱発電では、地下にある熱水や蒸気を地上へ取り出し、その熱エネルギーを発電に使います。そのため、十分な熱に加え、熱を運ぶ天然の水と、それを蓄える地熱貯留層などの地質条件が重要です。

今回の方式では、1本の坑井の中に内管と外管からなる密閉された熱回収管を設けます。その管内で水を循環させ、地下から熱を受け取って地上へ運びます。地下の熱水や蒸気、その成分を取り出さずに熱を回収するのが特徴です。

「クローズドループ」は、循環する水が管内を回る閉じた経路を指します。天然の熱水を汲み上げる方法とは、熱を地上へ運ぶ仕組みが異なります。

なぜ1本の坑井に二重管を入れるのか

内管と外管を使えば、1本の坑井の中に水の往きと戻りの経路を設けられます。地中で管を通じて熱を受け取り、温められた水の熱を地上で発電に利用する構想です。

この方式なら、天然の熱水や蒸気を十分に取り出せる地熱貯留層がなくても、地下から継続して必要な熱を回収できる場所であれば、地熱利用の選択肢になる可能性があります。

ただし、どの場所でも発電できると決まったわけではありません。坑井の掘削費、回収できる熱量、運転を続けた際の熱回収の持続性などを確かめる必要があります。3社がこれから行う実証プラントの運転は、そうした技術面と経済面を見極める段階です。

環境への効果も今後の検証点

管内で水を循環させ、地下の熱水や蒸気を地上へ取り出さないことから、3社は地上・地下への環境影響を抑えられる可能性を挙げています。

一方、今回の発表では、この実証設備による環境影響の測定結果やCO₂削減量は公表されていません。実際の効果は、設備を建設・運転した後のデータで確認する必要があります。

次に注目したい公表内容

今後の発表では、次の点を追いたいところです。

  • 坑井の深さと地下温度
  • 水の循環条件と実際に回収できる熱量
  • 実証プラントの発電方式・出力と運転開始時期
  • 長期間運転したときの熱回収量の変化
  • 掘削費を含めた発電コストと環境影響の検証結果

掘削を終えた今回の段階から、どれだけの熱を安定して回収し、電力に変えられるかが次の焦点になります。

熱の利用技術に関心がある方は、工場で電気を熱として蓄え、蒸気に利用する別の実証もご覧ください:島田工場の約10MWh級岩石蓄熱実証。

参考・出典

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