ごみ焼却施設のボイラーは、ごみを燃やした熱から蒸気をつくり、発電にも使う重要な設備だ。一方、運転を続けると伝熱面にばいじんが付着し、熱を回収する性能に影響する。
JFEエンジニアリングは2026年1月20日、焼却炉用ボイラーの清掃システムに、新しい圧力波クリーニング装置「PWG」を採用すると発表した。従来の圧力波装置がメタンガスと酸素を使うのに対し、PWGはプロパンガスと圧縮空気を使用する。1年間の実証運転を経て、正式採用を決めたという。
圧力波による清掃そのものを今回初めて導入したわけではない。 今回のポイントは、JFEが従来から扱ってきた清掃システムの圧力波装置に、異なる方式のPWGを採用したことだ。
なぜボイラーの清掃が発電に関わるのか
ごみ焼却施設では、焼却時の熱をボイラーで回収して蒸気をつくる。その蒸気をタービンに送れば発電できる。
しかし、ボイラーの伝熱面にばいじんが付着すると、排ガスから水・蒸気へ熱が伝わりにくくなる。安定して熱を回収するには、運転中も付着物を適切に除去することが重要だ。
従来から使われる蒸気式スートブロワは、蒸気を吹き付けて清掃する。これに対し圧力波方式は、清掃のために発電用蒸気を消費しない。JFEは水噴射方式も組み合わせ、ボイラー内の場所や付着物の状態に応じた清掃システムを展開してきた。
新しいPWGは何を変えた?
JFEの発表で示された違いを整理すると、次のようになる。
| 項目 | 従来の圧力波装置 | 今回採用したPWG |
|---|---|---|
| 使用するもの | メタンガスと酸素 | プロパンガスと圧縮空気 |
| 圧力波の形成 | 燃焼に伴う爆発を利用する方式 | JFEによると、圧力波の形成過程で爆発を伴わない |
| JFEが挙げる特徴 | 既存の清掃システムで使用 | 構造の簡素化、幅広い出力調整、運転・機器コストの低減 |
PWGは、スイスのP-wave社が保有する装置「Power Wave Generators」の名称だ。JFEは2025年11月、日本国内での製造・販売ライセンスを取得した。
現場目線で気になるのは、使用するガスと圧力波の形成方法が変わることで、運転費や機器構成にどう影響するかだ。JFEはプロパンと圧縮空気の使用による運転コストの抑制や、構造の簡素化による機器コストの低減を挙げている。ただし、従来装置との費用差や削減率は今回の発表では公表していない。
同社はPWGを1年間実証運転し、清掃性能の安定性と経済性を確認して正式採用した。今後は、水噴射と圧力波を組み合わせた清掃システムの主要設備として、同社グループが手掛ける廃棄物焼却施設を中心に国内で販売する方針だ。
2025年の受賞実績と、今回のPWGは分けて考える
JFEの「水噴射と圧力波を組み合わせた高効率ボイラークリーニング装置」は、2025年に第50回優秀環境装置表彰の経済産業大臣賞を受賞している。
その発表には、ボイラー内の付着灰の厚さを従来比で約70%抑えたことなども記されている。ただし、これは当時の組み合わせ技術に関する公表値で、今回採用したPWG単体の効果を示す数字ではない。 PWGについては、実証運転を経た正式採用が今回確認できる到達点だ。
採用予定の施設は?
JFEは2026年3月、沖縄県の那覇・南風原クリーンセンターの基幹的設備改良・改造工事で、新しい圧力波クリーニング技術を採用すると公表した。同施設の処理能力は450トン/日、工事の完成予定は2029年3月となっている。
これは具体的な採用予定先として注目できる。一方、工事完成後の運転実績や、PWG導入による発電量・保守費の改善結果が出たという発表ではない。
ごみ焼却施設の発電性能は、タービンだけで決まるものではない。熱を受け取るボイラーの状態をどう保つかも重要だ。今回のPWG採用は、日々の清掃に使う装置の燃料、構造、運転コストを見直す動きとして追っておきたい。
焼却排ガスを活用する別の技術動向は、JFEのMOFを使ったCO₂回収実証でも紹介している。
参考・出典
- JFEエンジニアリング|新しい圧力波クリーニング技術の採用(2026年1月20日)
- JFEエンジニアリング|那覇・南風原クリーンセンターなどの基幹的設備改良工事(2026年3月25日)
- JFEエンジニアリング|水噴射と圧力波を組み合わせた従来技術の受賞(2025年3月24日)
※アイキャッチは構想イメージであり、実際の装置・施設の写真ではありません。


