神鋼環境ソリューション、西多摩衛生組合の第2期基幹改良を受注|480t/日 流動床炉を40年稼働へ

プラントニュース・業界動向

神鋼環境ソリューションは2026年8月5日、西多摩衛生組合から「第二期基幹的設備改良工事」を受注し、7月9日に正式契約したと発表しました。

対象となるのは、東京都羽村市にある「西多摩衛生組合環境センター」です。

同施設は1998年3月に竣工し、同年4月から稼働を開始。全連続燃焼式の流動床炉を採用し、処理能力は160t/日×3炉、合計480t/日です。

今回の契約金額は30億1,000万円(消費税別)。

工期は2026年7月10日から2029年3月31日までで、プラント設備の主要機器を大規模に更新・改修し、施設の性能回復と長寿命化を図ります。

さらに設備改善によってCO₂排出量を抑制し、神鋼環境ソリューションでは今回の工事によって3%以上のCO₂削減効果が得られると試算しています。

しかし、今回の工事で特に注目したいのは「約28年稼働した古い施設を改修する」ということだけではありません。

西多摩衛生組合では2012年度に環境センター長寿命化計画を策定し、施設を約40年間使用することを見据えて、以前から「2度の基幹的設備改良工事」を計画していました。

今回の工事は、その長期計画に基づいて実施される「2回目の基幹改良」です。

西多摩衛生組合環境センターとは

西多摩衛生組合環境センターは、青梅市・福生市・羽村市・瑞穂町の3市1町から排出される可燃ごみを処理する一般廃棄物処理施設です。

旧施設の老朽化やごみ質の多様化などに対応するため、1994年度から4年間をかけて建設され、1998年4月から稼働しています。

焼却方式には「全連続燃焼式流動床炉」を採用。

施設規模は1炉あたり160t/日で、3炉合わせて480t/日の処理能力を持つ大型のごみ焼却施設です。

項目内容
施設名西多摩衛生組合環境センター
所在地東京都羽村市羽4235
構成市町青梅市・福生市・羽村市・瑞穂町
処理方式全連続燃焼式・流動床炉
処理能力160t/日×3炉
合計処理能力480t/日
竣工1998年3月
稼働開始1998年4月
現在の発電設備背圧式蒸気タービン発電機 2,370kW
第2期基幹改良工期2026年7月10日~2029年3月31日
契約金額30億1,000万円(税別)

ごみ焼却によって発生する熱は、ボイラーで蒸気として回収され、蒸気タービン発電機による発電のほか、場内の給湯や隣接する余熱利用施設「フレッシュランド西多摩」への熱供給にも利用されています。

もともと「40年間使う」ことを見据えた長寿命化計画

今回の第2期基幹改良を理解するうえで重要なのが、2012年度に策定された「環境センター長寿命化計画」です。

西多摩衛生組合では、ごみ処理施設の経年劣化に対応し、構成市町から排出される可燃ごみを将来にわたって安全・安定的に処理するため、この計画を策定しました。

その考え方は明確です。

稼働から約15年が経過した段階で第1期基幹的設備改良工事を実施。

さらに稼働から約30年となる時期に第2期基幹的設備改良工事を行い、最終的に稼働開始から約40年となる2038年度ごろまで施設を使用するというものです。

つまり今回の第2期工事は、突然決まった大規模補修ではありません。

「15年目で1回目、30年目で2回目の大規模改良を行い、40年間使う」

という長期的な設備保全計画の中に、以前から組み込まれていた工事です。

第1期基幹改良では何をしたのか

西多摩衛生組合環境センターでは、すでに第1期基幹的設備改良工事が行われています。

第1期は2013年度から始まり、その後の追加的な改良も含め2019年度まで実施されました。

工事内容は単純な老朽設備の交換だけではなく、省エネルギー化や発電量増加、売電、施設の強靭化まで含む大規模なものです。

主な改良内容には、自動燃焼制御装置、高圧蒸気復水器、排ガス処理設備、空気圧縮機、空調設備、受変電設備、燃焼設備、発電設備などがあります。

特に興味深いのが、蒸気の使い方を見直して発電量を増加させている点です。

例えば高圧蒸気復水器の改良では、配管を暖めるために使用していた蒸気を発電へ回せるよう設備を変更。

排ガス処理設備では、脱硝設備を改良することで排ガス再加熱に使用していた蒸気を削減し、その蒸気も発電に利用できるようにしました。

空調設備についても、蒸気式から電気式へ変更。

従来空調に使用していた蒸気を発電へ回すことで、施設全体としてエネルギーをより有効利用できるよう改良されています。

蒸気タービンを1,980kWから2,370kWへ増強

第1期基幹改良の中でも大きな変更だったのが発電設備です。

2018年度から2019年度にかけて実施された発電設備改良工事では、蒸気タービン発電機の最大出力を、

1,980kW → 2,370kW

へ増強しています。

さらに、受変電設備を改良して電力会社の系統へ接続することで、施設内で使い切れなかった余剰電力を売電できるようになりました。

西多摩衛生組合の資料によると、2016年度以降は余剰電力の売電が可能となっています。

つまり第1期は「古くなった機械を新品に交換した」というレベルではなく、

延命化+省エネ+発電能力向上+売電+災害対応

まで含めて施設そのものの機能を引き上げる改良だったことが分かります。

第1期ではCO₂排出量を大幅削減

第1期基幹改良では、省エネルギー設備への更新や蒸気利用方法の見直しによって、環境負荷も大きく低減しました。

西多摩衛生組合が2021年に公表した資料では、第1期工事の効果として、工事前と比較して温室効果ガス(CO₂)排出量を59.8%削減したとしています。

また、発電量の増加によって購入電力を削減し、余剰電力を売電できるようになったことも大きな効果として挙げられています。

ただし、この第1期の「59.8%削減」と、今回の第2期で神鋼環境ソリューションが示している「3%以上削減」は、評価対象や算定条件が同一であることまでは公表資料から確認できません。

そのため、単純に数字だけを比較するべきではありません。

重要なのは、第1期、第2期ともに「延命するだけではなく、設備改良によって環境性能も改善する」という考え方が一貫していることです。

第2期は30億1,000万円で主要機器を大規模更新

そして今回実施されるのが、第2期基幹的設備改良工事です。

神鋼環境ソリューションが公表した工事内容は、大きく2つです。

1つ目が、施設長寿命化を目的としたプラント設備主要機器の大規模な更新・改修。

2つ目が、CO₂排出量を抑制するための設備改善です。

契約金額は30億1,000万円(消費税別)。

工期は2026年7月10日から2029年3月31日までとなっています。

環境センターは1998年4月に稼働しているため、2028年度にはちょうど稼働30年を迎えます。

2012年度に策定された長寿命化計画では「稼働30年目ごろ」に第2期基幹改良を行う方針が示されていました。

今回の工事は2026年度から先行してスタートするものの、工期にはまさにその「稼働30年目」が含まれています。

長寿命化計画で描いていたロードマップが、十数年を経て実際の工事として進み始めたことになります。

第2期ではCO₂をさらに3%以上削減へ

神鋼環境ソリューションでは、第2期基幹改良によって3%以上のCO₂削減効果を見込んでいます。

第1期ですでに省エネルギー化や発電設備の高効率化を進めている施設で、さらにCO₂排出量削減を図ることになります。

第2期で具体的にどの設備をどの仕様へ更新するのかについては、今回の発表では詳細まで明らかにされていません。

そのため、現段階で具体的な更新機器を推測することは避けるべきでしょう。

一方、神鋼環境ソリューションは「プラント設備主要機器の大規模更新及び改修工事」と明記しています。

約28年間稼働している大型焼却施設だけに、2029年3月までの約3年間をかけて行われる第2期工事は、今後の施設運用を左右する大きな改良工事となります。

1998年稼働の施設を2038年度ごろまで使う

西多摩衛生組合の長寿命化計画では、最終的に2038年度ごろまで環境センターを稼働させることを目標としています。

1998年の稼働開始から数えると約40年間です。

新しい焼却施設を建設するのではなく、

第1期基幹改良 → 継続的な維持整備 → 第2期基幹改良

という段階的な設備更新によって、既存施設を長期間使い続ける考え方です。

第1期では中央監視、排ガス処理、復水器、空気圧縮機、電気設備、燃焼設備、発電設備などを更新・改良。

そして約30年目となる今回、再び主要設備を大規模に更新することで、その先の約10年間の安定稼働につなげていきます。

ごみ処理施設の長寿命化を考えるうえでも、非常に分かりやすいライフサイクルになっています。

FORGRAFT LABが注目するポイント

今回の案件で注目したいのは、基幹的設備改良を「故障した設備を直す工事」としてではなく、施設のライフサイクル全体の中で計画している点です。

設備は日常的な点検や補修を行っていても、長期間使用すれば主要機器の大規模更新が必要になります。

西多摩衛生組合では、15年程度の間隔で大きな基幹改良を組み込み、その間を通常の保守・設備更新でつなぐことで、40年間の施設使用を目指しています。

特に清掃工場は、構成自治体から毎日搬入されるごみを安定的に処理する必要があります。

大規模改良だからといって簡単に施設全体を長期間停止できる設備ではありません。

そのため実際の工事では、焼却炉の運転計画、定期整備、設備停止期間、既設設備から更新設備への切替などを組み合わせながら工事を進めることになります。

こうした「稼働中プラントをどう更新するか」という部分も、今回の第2期基幹改良で注目したいポイントです。

まとめ

神鋼環境ソリューションが受注した西多摩衛生組合環境センターの第二期基幹的設備改良工事は、契約金額30億1,000万円(税別)の大型改良工事です。

対象施設は160t/日×3炉、合計480t/日の流動床式焼却炉で、1998年の稼働開始から約28年が経過しています。

工期は2026年7月10日から2029年3月31日まで。

プラント設備の主要機器を大規模に更新・改修するとともに、設備改善によって3%以上のCO₂削減を目指します。

そして今回の工事は、単発の老朽化対策ではありません。

西多摩衛生組合では2012年度の段階から、

15年目に第1期基幹改良 → 30年目ごろに第2期基幹改良 → 約40年間使用

という長寿命化のロードマップを描いていました。

第1期では発電設備を1,980kWから2,370kWへ増強し、蒸気利用の効率化や余剰電力の売電など、施設性能そのものを高める改良を実施。

その約10年後となる今回、第2期として再び主要機器を大規模更新します。

1998年に稼働した480t/日の大型流動床炉を、2度の基幹改良によって2038年度ごろまで使う。

西多摩衛生組合環境センターは、ごみ処理施設を計画的な大規模改良によって長寿命化していく事例として、今後も注目したい施設です。

タイトルとURLをコピーしました