京都府福知山市の「福知山終末処理場汚泥有効利用施設」が、2026年4月1日に運転を開始した。神鋼環境ソリューションが4月20日に発表した。
これまで市内の下水汚泥は焼却し、残った灰を埋め立てていた。新施設では汚泥を集めて消化・脱水し、炭化した固形燃料に変える。市が示す固形燃料の生成量は2.7トン/日。発電所などで石炭の代替燃料として利用する構想だ。
汚泥をどうやって燃料にする?
福知山市の資料では、施設の主な工程を次のように示している。
| 工程 | 役割 |
|---|---|
| 受入・濃縮 | 市内の下水汚泥やし尿などを受け入れ、水分を減らす |
| 消化 | 微生物の働きで汚泥を分解・減量する |
| 脱水・乾燥 | 消化後の汚泥から水分を取り除く |
| 造粒・炭化 | 乾燥した汚泥を粒状にし、電気を熱源とする炭化炉で固形燃料にする |
完成した燃料は、直径約4mm、長さ約10mmの粒状だ。市民公募と投票を経て、**「ふくちっ固」**という愛称も付いた。
消化工程で発生するガスは、施設内で排ガスを燃焼処理する際の補助燃料として利用する。消化ガスをそのまま発電所へ運ぶわけではない。 発電所などでの利用を想定しているのは、炭化して製造する固形燃料のほうだ。
注目は電熱スクリュ式炭化炉
福知山市によると、この施設は北近畿で初の下水汚泥固形燃料化施設だ。また、採用した電熱スクリュ式炭化炉は、日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に選定された後、実施設で稼働する全国初の事例としている。
「全国初」の対象は、あくまでこの方式の炭化炉を実施設で稼働させること。下水汚泥を固形燃料にする取り組み全体が全国初という意味ではない。
現場設備として見ると、受入から消化、脱水、乾燥、造粒、炭化までを一つの処理場でつなげている点が興味深い。汚泥の水分を段階的に減らし、最後に燃料として取り扱える形にする構成だ。
燃料の利用先と削減効果
神鋼環境ソリューションは、発電事業を行う神戸製鋼所と連携し、汚泥由来の固形燃料を発電燃料として活用すると説明している。福知山市も、火力発電所などへ石炭の代替燃料として売却する方針を示している。
市の資料にある固形燃料2.7トン/日は施設の生成量として示された値で、運転開始後に毎日その量を製造したという実績値ではない。また、特定の発電所への納入量や、石炭を実際に置き換えた量も今回確認した資料では示されていない。
温室効果ガスについて、福知山市は従来の年間4,100トンCO₂相当から年間1,317トンCO₂相当への低減を見込み、削減量を年間約2,780トン、削減率を約68%としている。神鋼環境ソリューションも年間約2,780トンのCO₂削減を公表した。
これらは事業による削減見込みであり、4月の運転開始後に1年間測定した結果ではない。
工事と運営はどう分かれる?
施設の整備工事は、神鋼環境ソリューションと松村組の共同企業体が担当した。2026年の竣工発表に記された工事の契約金額は税込61.6億円。福知山市が示す事業費約65億円とは資料上の対象・表現が異なるため、同じ数字として扱わない。
維持管理・運営については、神鋼環境ソリューションと神鋼環境メンテナンスが共同出資で設立した特別目的会社が契約する。設備を建てて終わりではなく、その後の運用も含む事業だ。
従来の「焼却して灰を埋め立てる」処理から、汚泥を発電用の燃料として送り出す仕組みへ。今後は、実際の燃料製造量や発電所での利用状況、運転後の削減実績にも注目したい。
参考・出典
- 神鋼環境ソリューション|汚泥有効利用施設の竣工・運転開始(2026年4月20日)
- 福知山市|施設の仕組み・生成量・削減見込み(2026年2月19日、PDF)
- 福知山市|竣工式と固形燃料の愛称「ふくちっ固」
※アイキャッチは構想イメージであり、実際の施設・装置の写真ではありません。


