日鉄エンジニアリングは2026年10月6日、JFEスチール西日本製鉄所・福山地区向けのコークス乾式消火設備(CDQ)1基が竣工したと発表しました。処理能力は144トン/時です。
この設備は、新設された第6コークス炉でつくられる高温のコークスを冷却し、その熱を蒸気として回収します。コークスを冷やす工程を、製鉄所のエネルギー利用につなげる設備です。
今回竣工した設備の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設置先 | JFEスチール 西日本製鉄所 福山地区 |
| 設備 | コークス乾式消火設備(CDQ)1基 |
| 処理能力 | 144トン/時 |
| 施工者 | 日鉄エンジニアリング |
| 関連設備 | 第6コークス炉 |
| 発表日 | 2026年10月6日 |
日鉄エンジニアリングは2024年5月に、このCDQの設計・製作・施工を受注したと発表していました。今回の発表は、その設備の竣工を知らせるものです。また、一般社団法人環境共創イニシアチブによる「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」が活用されています。
CDQとは? 冷却と熱回収を同時に行う
コークスは、石炭をコークス炉で蒸し焼きにしてつくる、高炉の操業に欠かせない材料です。炉から取り出した直後は非常に高温のため、高炉へ送る前に冷却する必要があります。
CDQは「Coke Dry Quenching」の略です。赤熱したコークスを不活性ガスで冷やし、熱を受け取ったガスから排熱回収ボイラーで蒸気をつくります。
流れを簡単に示すと、次のようになります。
赤熱コークス → 不活性ガスで冷却 → ガスが受け取った熱をボイラーへ → 蒸気として回収
日鉄エンジニアリングは、CDQの蒸気を利用した発電に加え、冷却時のダスト発生の抑制や、高炉で使うコークスの品質改善も期待できると説明しています。
第6コークス炉との関係
JFEスチールは2026年8月31日、福山地区の第6コークス炉A団の稼働を開始しました。同炉は、石炭をあらかじめ圧密成型して側方から装入する「スタンプチャージ式」を採用しています。JFEスチールによると、大型コークス炉への同方式の採用は国内初です。
第6コークス炉A団の公表された生産能力は約42万トン/年。一方、今回竣工したCDQの144トン/時は、コークスを冷却する設備の時間当たりの処理能力です。対象と単位が異なるため、両者をそのまま年間の処理実績として比較することはできません。
発電量やCO₂削減量は公表されている?
日鉄エンジニアリングは、CDQによる蒸気回収と発電を通じたCO₂排出量の削減効果を説明しています。ただし、今回の福山向け設備について、発電出力、年間発電量、年間のCO₂削減量は公表していません。
そのため、144トン/時の処理能力から年間発電量を計算したり、この設備固有の削減量を示したりすることはできません。今後、運転実績やエネルギー回収量が公表されれば、導入効果をより具体的に確認できます。
日鉄エンジニアリングのCDQ受注実績は累計181基
同社によると、今回の設備を含むグループのCDQ受注実績は累計181基です。JFEスチール向けでは、2022年に東日本製鉄所・千葉地区にもCDQを納入しています。
福山の案件は、新しいコークス炉の稼働に合わせて冷却設備を整え、従来は放散されていた高温コークスの熱を回収する事例です。製鉄所の省エネルギーを考えるうえでは、コークスをつくる工程だけでなく、取り出した後の熱をどう使うかも重要になります。
なお、同じ日鉄エンジニアリングが手がけるプラントでも、ごみ処理施設でコークスを使う事例は工程と目的が異なります。関連記事:エコクリーン松江の基幹改良とコークス使用量の削減


