神鋼環境ソリューションがクリーンセンター衣浦の小規模基幹改良を受注|2回目・35.9億円

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2026年7月27日、株式会社神鋼環境ソリューションは、愛知県の衣浦衛生組合から「クリーンセンター衣浦小規模基幹的設備改良工事」を受注したと発表しました。

正式な契約日は2026年6月3日で、契約金額は35億8,940万円(消費税別)。工期は2026年6月4日から2029年3月16日までです。

クリーンセンター衣浦は、碧南市と高浜市から排出される一般廃棄物を処理する施設です。

1995年9月の竣工から約31年が経過した、処理能力190t/日の回転ストーカ式焼却施設で、今回が同施設における2回目の基幹的設備改良工事となります。

工事名には「小規模」と付いていますが、日常的な修繕や一部部品の交換ではありません。

プラント設備の主要機器を大規模に更新・改修し、施設の性能回復、長寿命化、CO₂排出量の抑制を図る工事です。

この記事では、神鋼環境ソリューションの発表内容だけでなく、衣浦衛生組合が公表している施設概要や議会会議録をもとに、なぜ2回目の基幹改良が必要なのか、なぜ工事規模を絞ったのか、現場では何が重要になるのかを整理します。

先に結論|次期ごみ処理体制が決まるまでの安定運転を支える工事

今回の工事で押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 発注者は、碧南市と高浜市で構成する衣浦衛生組合
  • 受注者は株式会社神鋼環境ソリューション
  • 契約金額は35億8,940万円(消費税別)
  • 工期は2026年6月4日から2029年3月16日
  • 施設規模は190t/日、95t/24h×2系列
  • 焼却方式は回転ストーカ式焼却炉
  • 既存施設は1995年9月竣工
  • 同施設では2回目の基幹的設備改良工事
  • プラント設備の主要機器を大規模に更新・改修
  • 施設の性能回復、長寿命化、CO₂排出量の抑制が目的
  • 次期ごみ処理体制が決まるまで、当面10~11年程度の安定運転を確保する位置付け

今回の「小規模」は、簡単な補修工事という意味ではありません。

将来の新設、再延命化、外部処理などが検討されている中で、今後必要となる運転期間を見据え、更新対象を必要な範囲に絞った基幹改良と考えるのが適切です。

クリーンセンター衣浦小規模基幹的設備改良工事の概要

項目内容
発注者衣浦衛生組合
受注者株式会社神鋼環境ソリューション
工事名クリーンセンター衣浦小規模基幹的設備改良工事
契約日2026年6月3日
工事場所愛知県碧南市広見町1丁目1番地1
契約金額35億8,940万円(消費税別)
工期2026年6月4日~2029年3月16日
既存施設竣工1995年9月
焼却方式回転ストーカ式焼却炉
施設規模190t/日(95t/24h×2系列)
工事内容プラント設備主要機器の大規模更新・改修、CO₂排出量を抑制するための設備改善
主な目的性能回復、施設長寿命化、安定処理、環境負荷低減
基幹改良の回数同施設で2回目

※契約金額は、神鋼環境ソリューションが公表した消費税別の金額です。

クリーンセンター衣浦とは

クリーンセンター衣浦は、愛知県の碧南市と高浜市で構成する衣浦衛生組合が運営する一般廃棄物処理施設です。

碧南市と高浜市から排出される可燃ごみの焼却に加え、粗大ごみや不燃ごみの破砕・選別など、地域の一般廃棄物処理を担っています。

施設項目内容
所在地愛知県碧南市広見町1丁目1番地1
ごみ焼却能力190t/日
炉構成95t/日×2炉
運転方式全連続燃焼式
焼却方式回転ストーカ式
粗大ごみ処理能力40t/5時間
施設竣工1995年9月
前回の延命化工事2014年度~2016年度

衣浦衛生組合の施設概要では、ごみ焼却施設の主な設備として、次のような設備が掲載されています。

  • ごみクレーン
  • ごみホッパ・給じん装置
  • 回転ストーカ式焼却炉
  • ガス冷却室
  • バグフィルタ
  • 有害ガス除去装置
  • 誘引送風機
  • ダスト固化装置
  • 灰クレーン
  • DCS制御装置
  • 小型蒸気発電機

今回の公式発表では、これらのうち、どの機器を何台更新するのか、具体的な更新対象や仕様までは公表されていません。

したがって、特定の送風機、クレーン、制御盤、排ガス処理機器などが更新されると推測で断定することは避ける必要があります。

今回が2回目の基幹的設備改良工事

クリーンセンター衣浦では、今回以前にも大規模な延命化工事が行われています。

衣浦衛生組合の施設概要によると、前回の延命化工事は2014年度から2016年度に実施されました。

前回の延命化工事費として、基幹的設備改良事業27億7,233万6,000円と、つぎ足し単独事業8億9,966万4,000円が掲載されています。

合計すると36億7,200万円です。

項目前回の延命化今回の基幹改良
実施時期2014年度~2016年度2026年6月~2029年3月
位置付け1回目の基幹的設備改良・延命化2回目の小規模基幹的設備改良
公表金額延命化工事費合計36億7,200万円契約金額35億8,940万円(消費税別)
主な目的設備更新による延命化性能回復、当面の延命化、CO₂排出抑制

※前回と今回では金額の算定時期、工事範囲、消費税の扱いなどが異なるため、単純な金額比較はできません。

それでも、今回が通常の定期修繕ではなく、前回の延命化と同様に数十億円規模の大規模な設備工事であることは分かります。

基幹的設備改良工事とは

環境省のマニュアルでは、基幹的設備改良は、燃焼設備、燃焼ガス冷却設備、排ガス処理設備など、ごみ焼却施設を構成する重要な設備や機器を対象に、おおむね10~15年ごとに実施する大規模な改良事業とされています。

単に古い機器を新品へ交換するだけではありません。

  • 施設の性能回復
  • 既存施設の長寿命化
  • 省エネルギー化
  • CO₂排出量の削減
  • エネルギー回収能力の向上
  • 災害廃棄物処理体制の強化
  • 中長期的な財政負担の平準化

このような複数の目的を持って、既存施設の重要設備を計画的に更新・改造する事業です。

なぜ「小規模」の基幹改良を選んだのか

今回の記事で特に注目したいのが、工事名に「小規模」と付いている理由です。

衣浦衛生組合は、当初、クリーンセンター衣浦を2039年度まで延命する大規模な基幹的設備改良を検討していました。

しかしその後、再延命化、新施設の建設、外部施設への処理委託など、将来のごみ処理体制を改めて比較することになりました。

2024年12月の衣浦衛生組合議会会議録では、当初約69億円を見込んでいた工事を、約37億円の小規模基幹的設備改良へ変更したことが説明されています。

その背景には、将来どの処理方式を選んだ場合でも、現施設を少なくとも約10年以上は継続して稼働させる必要があるという判断があります。

2024年8月の会議録でも、2026年度から3年間で「一番無駄のない小規模基幹的設備改良工事」を行い、当面の延命化を図る方針が示されています。

つまり、現施設を長期間使い続けるために全面的な再延命化を行うのではなく、次期ごみ処理体制が整うまでの10~11年程度を、安全かつ安定して運転するために必要な設備へ投資する考え方です。

このため、「小規模」は工事そのものが小さいという意味ではなく、将来計画を踏まえて更新範囲を絞ったという意味合いが強いと考えられます。

回転ストーカ式焼却炉とは

クリーンセンター衣浦は、95t/日の回転ストーカ式焼却炉を2系列備えています。

神鋼環境ソリューションが現在案内している回転ストーカ式焼却炉は、炉壁をボイラ水管で構成した円筒形の炉を低速で回転させ、ごみを混合・撹拌しながら燃焼する方式です。

一般的な階段状の火格子を前後に動かしてごみを送るストーカ炉とは、炉本体の構造や、ごみを撹拌・移送する方法が異なります。

メーカーが挙げている主な特徴は、次のとおりです。

  • 炉壁をボイラ水管で構成した水冷構造
  • 円筒形の炉を低速で回転させてごみを撹拌
  • 低質ごみから高質ごみまで幅広いごみ質に対応
  • 低空気比燃焼に対応しやすい
  • 燃焼熱を回収しやすい
  • 摩耗や腐食を抑えた耐久性

ただし、今回の工事で回転ストーカ炉本体のどの部分を更新・改修するのかは公表されていません。

回転ストーカ式という焼却方式の特徴と、今回の具体的な工事範囲は分けて見る必要があります。

今回更新される設備の詳細は未公表

神鋼環境ソリューションの発表で示されている工事内容は、次の2点です。

  • 施設長寿命化を目的としたプラント設備主要機器の大規模更新・改修
  • CO₂排出量を抑制するための設備改善

燃焼設備、排ガス処理設備、電気設備、計装設備、クレーン設備など、個別の更新対象や型式、数量については、現時点の公式発表では確認できません。

そのため、送風機のインバータ化、モーター交換、DCS更新、バグフィルタ更新など、具体的な工事内容を推測で記載することは避けます。

CO₂排出量を抑制する設備改善も実施

今回の工事では、主要設備の更新とあわせて、CO₂排出量を抑制するための設備改善も行われます。

環境省の基幹的設備改良マニュアルでは、ごみ焼却施設におけるCO₂削減策として、施設で使用する電力の削減、補助燃料使用量の削減、発電や熱利用の増強などが挙げられています。

ただし、クリーンセンター衣浦については、具体的な改善設備やCO₂削減率の数値は公表されていません。

先に記事化した渋川地区広域圏清掃センターでは、送風機のインバータ化などによりCO₂排出量を3%以上削減する計画が公表されていました。

一方、衣浦では「CO₂排出量を抑制するための設備改善」とするところまでの発表です。

今後、長寿命化計画や工事資料で具体的な設備と削減効果が公表された場合には、追加で確認したいポイントです。

次期ごみ処理施設の検討と並行して工事を進める

今回の基幹改良は、クリーンセンター衣浦を半永久的に使用し続けるための工事ではありません。

碧南市と高浜市では、次期ごみ処理体制について、施設の再延命化、新施設の建設、民間施設を含む外部処理など、複数の選択肢を検討しています。

両市が実施した民間事業者へのサウンディング調査でも、新しい一般廃棄物処理体制に関する意見や提案を募集しています。

現在の施設は、前回の大規模延命化を経ても竣工から約31年が経過しており、自治体の資料では設備故障などの事案も発生していると説明されています。

一方、新施設の候補地選定、事業方式の決定、環境影響調査、設計、建設には長い期間が必要です。

今回の小規模基幹的設備改良は、将来の方向性を検討しながら、地域のごみ処理を途切れさせないための重要な橋渡しとなる工事です。

現場目線で注目したい5つのポイント

1.稼働中施設で2系列の停止工程を調整する

クリーンセンター衣浦は95t/日の焼却炉を2系列備えています。

地域から搬入される一般廃棄物を継続して処理するには、2系列を同時に長期間停止するのではなく、定期修繕やごみ搬入量を考慮しながら、系列ごとに工事を進める工程調整が重要になります。

2.前回の改造履歴を含めて新旧設備を取り合わせる

今回は、新設から約31年、前回の延命化工事から約10年が経過した施設で行う2回目の基幹改良です。

建設当初の設備だけでなく、前回工事や、その後の修繕・部分更新で変更された機器、配管、ダクト、電源、信号などを確認する必要があります。

古い完成図だけで判断せず、現地調査、既設図面、改造履歴、点検記録を突き合わせることが重要です。

3.機械・電気・計装を一体で考える

主要機器の更新は、機械単体の交換だけでは完了しません。

  • 既設電源容量と保護装置
  • 動力盤や制御盤との接続
  • DCSとの入出力信号
  • インターロックと非常停止
  • 中央監視画面と警報
  • 試運転時の動作確認

機械、電気、計装、運転制御を一つのシステムとして確認する必要があります。

4.停止期間中の仮設と復旧手順が重要

既設設備を撤去してから新設備を設置する間も、他系列や共通設備を安全に運転できる状態を維持しなければなりません。

仮設電源、仮設配管、仮設ダクト、養生、工事区画の分離、復旧手順など、完成後には見えなくなる準備が工程全体を左右します。

5.火気・揚重作業と運転区画を分離する

ごみ処理施設の大規模更新では、重量物の搬出入、クレーン作業、溶接・溶断などの火気作業が発生します。

運転中設備との接触、落下物、火災、粉じん、既設配管やケーブルの損傷を防ぐため、運転側と工事側が停止範囲、立入区画、作業時間、復旧条件を共有することが重要です。

渋川地区広域圏清掃センターとの違い

2026年7月には、タクマも渋川地区広域圏清掃センターの基幹的設備改良工事を受注しています。

同じ基幹改良案件ですが、工事の背景や公表内容には違いがあります。

比較項目クリーンセンター衣浦渋川地区広域圏清掃センター
受注者神鋼環境ソリューションタクマ
施設規模190t/日232.5t/日
炉構成95t/24h×2系列116.25t/24h×2炉
焼却方式回転ストーカ式階段ストーカ式
施設竣工1995年9月1993年3月
基幹改良同施設で2回目回数の公表なし
契約金額35億8,940万円(消費税別)非公表
延命化の考え方当面10~11年程度を目標工事後15年以上
CO₂削減設備改善を実施、削減率は非公表3%以上削減する見込み
工事完了予定2029年3月16日2029年3月

衣浦では、次期ごみ処理体制を検討する間の安定運転を確保するため、必要な設備に範囲を絞った2回目の基幹改良が行われます。

一方、渋川では、建替えとのライフサイクルコスト比較を行い、工事後15年以上の延命化を目指す計画です。

同じ「基幹改良」でも、施設の状態、将来計画、必要な延命期間によって、工事範囲や投資の考え方が異なることが分かります。

まとめ|2回目の基幹改良で次期施設までの安定処理を支える

神鋼環境ソリューションが受注したクリーンセンター衣浦小規模基幹的設備改良工事では、プラント設備主要機器の大規模更新・改修と、CO₂排出量を抑制する設備改善が行われます。

今回のポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 契約金額は35億8,940万円(消費税別)
  • 工期は2026年6月4日から2029年3月16日
  • 処理能力は190t/日の回転ストーカ式焼却施設
  • 1995年9月竣工で約31年が経過
  • 2014年度から2016年度に1回目の延命化を実施
  • 今回は同施設で2回目の基幹的設備改良工事
  • 主要設備の大規模更新・改修で性能回復と長寿命化を図る
  • CO₂排出量を抑制する設備改善も行う
  • 具体的な更新機器やCO₂削減率は未公表
  • 次期ごみ処理体制が決まるまでの10~11年程度の安定運転を支える

工事名に「小規模」とありますが、契約額は35億円を超え、主要機器の大規模更新を伴う工事です。

新しい施設を建設する場合とは異なり、約31年間使用され、すでに一度延命化された既設設備を残しながら工事を進めます。

新旧設備の取り合い、2系列の停止工程、改造履歴の確認、電気・計装設備との整合、試運転、運転区画と工事区画の分離など、既設改造ならではの難しさがある案件です。

今後、更新対象設備やCO₂削減効果、次期ごみ処理施設の方針などが公表された場合には、引き続き確認したいと思います。

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