ドイツのクレーン事業者Gertzenは、保有するLiebherr製クローラクレーン「LR 1800-1.0」をX3ブーム仕様に改造し、風力発電所の施工に初めて投入した。Liebherrが2026年10月13日に発表した。
施工したのはHeiden風力発電所の風車。塔の高さは166mで、最も重い単体部材だった発電機の正味重量は131tだ。既存機のブーム構成を変え、高い位置での大型部材の据付に対応した事例として興味深い。
X3ブームは下部の幅を広げる
X3の特徴は、メインブーム下部に組み込む大型の格子構造にある。Liebherrによると、長さ12m、幅6mの部材を3節用い、ブームの横方向の剛性を高めている。
長いブームを立てて高所で作業する場合、吊荷の重さだけでなく、ブームの長さや横方向の安定性も重要になる。X3は下部を幅広くすることで、LR 1800-1.0が対応できる風車施工の範囲を広げる構成だ。
幅6mの部材は左右に分けられ、輸送時には半割りの部材をずらして重ねることで、輸送幅を3.5mにできるという。現場での能力だけでなく、道路輸送と組立を考えた構造になっている。
初施工ではどのように使った?
今回の風車施工で公表された主な数字は次のとおり。
| 項目 | 公表内容 |
|---|---|
| クレーン | Liebherr LR 1800-1.0をX3ブーム仕様に改造 |
| 施工場所 | ドイツのHeiden風力発電所 |
| 風車 | ENERCON E-160 EP5、塔の高さ166m |
| 発電機の据付構成 | メインブーム166m+固定ジブ12m |
| 最大の単体部材 | 発電機、正味重量131t |
| その他の部材 | ナセル82t。ブレード据付時は固定ジブを24mに延長 |
| X3の対象範囲 | ハブ高さ最大175mの風車への対応を説明 |
ここでいう**「800t級」はクレーンの機種区分**だ。今回の発電機の正味重量は131tであり、「高さ166mの位置で800tを吊った」という意味ではない。また、131tは発電機そのものの正味重量で、吊具などを含む総吊荷重量は発表されていない。
実際に吊れる荷重は、ブーム・ジブの構成に加え、作業半径やカウンターウエイト、現場条件などに応じて確認する必要がある。今回の発表には、この吊荷に対する作業半径や荷重表の適用条件までは示されていない。
「大型機に更新」以外の選択肢
Liebherrによると、この種類の風車は従来、より大型のLR 11000で施工していた。Gertzenは既存のLR 1800-1.0をX3仕様へ改造することで、対応できる工事を広げた。
もちろん、改造だけであらゆる風車を施工できるわけではない。個々の現場では吊荷、揚程、作業半径、風の条件、輸送・組立スペースを合わせて検討する必要がある。改造費や施工時の作業半径、必要な輸送台数は今回の発表では公表されていない。
この事例の見どころは、単に「800t級クレーンを使った」ことではなく、既存機のブーム剛性と輸送方法を見直し、実際の風車施工までつなげた点だ。
クローラクレーンの別の製品動向については、コベルコ建機の75t級テレスコピックブームクローラクレーンも紹介している。
参考・出典
※アイキャッチは構想イメージであり、実際の施工写真ではありません。


