太陽光から直接水素――SunHydrogen、小型モジュールで変換効率12.3%を測定

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太陽光を受けて電気を取り出すパネルではなく、太陽光と水から水素をつくるパネル。その開発で、小型モジュールの効率改善が報告された。

米SunHydrogenは2026年10月13日、独CTF Solarと開発した小型の水素製造モジュールについて、太陽光から水素への変換効率が12.3%に達したと発表した。

測定場所は、日本の本田技術研究所の施設。数値は有効面積を基準とする室内試験の結果で、屋外の大型設備が12.3%を達成したという発表ではない。

一方、米テキサス州では改良したモジュール4基の屋外試験も進んでいる。今回の発表は、室内での効率改善と、屋外で装置を動かす実証という、二つの進展を伝えるものだ。

太陽光と水から水素をつくる仕組み

SunHydrogenが開発するパネルは、太陽光で生じた電荷を水の分解に利用し、水素を取り出す方式だ。

同社は、パネル内で光を水素製造に利用する技術として説明している。太陽光発電設備で得た電力を、別に設置した水電解装置へ送る構成と比べ、発電から水素製造までをパネル側へまとめることを目指す。

ただし、水素をつくれることと、工場で使う水素を必要量・必要圧力で安定供給できることは別の課題になる。実用化には、モジュールの性能に加え、水素の回収や周辺設備まで含めた検証が必要だ。

今回の「12.3%」は何を示すのか

今回、SunHydrogenはCTF Solarとセル配置を改良し、小型モジュールの太陽電池部分の出力を高めたと説明している。

そのモジュールを本田技術研究所の施設で室内測定したところ、有効面積基準の太陽光―水素変換効率が12.3%に達したという。

SunHydrogenは、以前に本田技術研究所で確認された10.8%から改善したと報告している。

ここで押さえたいのは、数値の測定範囲だ。

  • 対象は小型モジュール
  • 測定は室内試験
  • 効率は有効面積基準
  • 公表元はSunHydrogen

有効面積基準の効率を、パネルの外形全体を基準とする効率や、設備全体の年間平均効率と同じ数値として扱うことはできない。今回の発表には、商用設備としての年間水素製造量や製造原価は示されていない。

米国では改良モジュール4基を屋外試験

米オースティンの実証設備では、改良したモジュール4基を新たに設置した。

設置先は、テキサス大学オースティン校の電気機械研究センターとGTI Energyが共同管理するHydrogen ProtoHubだ。SunHydrogenによると、新しいモジュールは実際の屋外条件で2週間、安定した動作を示した。

この屋外試験は、室内で得た効率値をそのまま再現したという発表ではない。外で装置を動かし、そこで得られるデータを次の設計改善へ戻す工程に当たる。

12.3%という室内の測定値と、4基が2週間動作したという屋外の報告は、分けて読む必要がある。

小型から大型へ、性能を引き継げるか

SunHydrogenは、今回の効率改善を、より大きな試作機へ展開することを次の課題としている。最終的には、オースティンで試験している大型パネルへの反映を目指す。

同社は2025年2月、1,200cm²のモジュールについて、有効面積基準で9%の太陽光―水素変換効率を室内試験で確認したとも発表している。

今回の小型モジュール12.3%と、過去の大型モジュール9%は、試験対象や時期が異なる。単純に優劣を比べる数値ではないが、モジュールを大きくした際の性能確認が重要であることは分かる。

また、SunHydrogenは2026年9月、本田技術研究所との共同開発契約を2028年3月31日まで延長したと発表している。日本の研究施設での評価と、海外でのモジュール製造・屋外実証を組み合わせて開発を進める構成だ。

現場目線で、実用化までに確認したいこと

水素を使う側から見ると、最高効率だけでなく、日々の運転条件でどれだけ安定して製造できるかが重要になる。

今後の確認点としては、次の項目が挙げられる。

  • 大型モジュールの屋外平均効率と水素製造量
  • 季節、天候、温度変化による性能の変動
  • 長期運転での劣化と部材の交換周期
  • 水素の回収、品質管理、安全管理
  • 周辺設備を含めた導入費用と運転費用

これらは、今回の発表で商用性能が確定した項目ではなく、導入を判断するために今後確認したい点だ。

まとめ

SunHydrogenは、本田技術研究所の施設で行った小型モジュールの室内試験で、有効面積基準の太陽光―水素変換効率12.3%を報告した。

米国では別途、改良したモジュール4基が屋外で2週間動作したと発表している。12.3%は、その屋外設備の効率値ではない。

太陽光と水から直接水素をつくる技術が、室内の性能改善を大型化・長期屋外運転へつなげられるか。今後は効率の最高値に加え、実際の水素製造量、耐久性、費用の公表に注目したい。

参考・出典

※本記事は2026年10月15日までに公表された情報をもとに作成しています。効率値や屋外試験の状況は、SunHydrogenの発表に基づきます。

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