松山市「新南クリーンセンター」実施方針を公表|160t/日・DBO方式で2033年度稼働へ

プラントニュース・業界動向

松山市は2026年9月18日、「松山市新南クリーンセンター整備運営事業」の実施方針と要求水準書(案)を公表しました。

計画する可燃ごみ処理施設は、処理能力160t/日、80t/日の焼却炉を2炉備える構成です。市は2033年度中の稼働を案内し、2027年度の事業者選定に向けて準備を進めています。

設備保全の視点では、ごみクレーンの運転継続性や交換作業のしやすさも注目点です。この記事では、施設計画と今後の日程、要求水準書(案)から見える現場のポイントを整理します。

※2026年9月27日までに確認した松山市の公表資料に基づきます。要求水準書は案の段階で、仕様・日程は今後変更される可能性があります。

今回の公表で何が進んだ?

今回の動きは、事業者の募集・選定に向け、事業の進め方と施設に求める条件が示されたことです。

施設整備基本計画は2025年6月に公表されています。160t/日という規模やストーカ式の採用は、以前から検討されてきた内容です。

今回公表された実施方針と要求水準書(案)により、設計・建設から運営までの業務範囲や、設備の具体的な要求が読み取れるようになりました。受注メーカーや契約金額の決定は、今後の段階です。

新南クリーンセンターの計画概要

項目公表資料の内容
事業名松山市新南クリーンセンター整備運営事業
事業主体松山市
建設予定地松山市市坪西町1000番地1、現南クリーンセンター敷地内西側
可燃ごみ処理能力160t/日(80t/日×2炉)
焼却方式ストーカ式
粗大ごみ処理能力48t/5時間
事業方式DBO方式
稼働予定市公式ページでは2033年度中
事業者選定2027年度を予定

背景には、松山市・伊予市・東温市・松前町・砥部町・久万高原町の3市3町によるごみ処理広域化があります。老朽化した南クリーンセンターを同一敷地内で建て替え、広域処理を担う施設の一つとして整備します。

なお、広域化する地域のごみをすべて新施設だけで処理する計画ではありません。基本計画では、西クリーンセンターの処理分も考慮して新施設の規模を算定しています。

2炉構成は点検時の処理継続にも関係する

2025年の基本計画では、1炉構成と2炉構成を比較し、点検時に片方の炉を止めても処理を続けられることなどを評価しています。

保全の立場で見ると、炉数は定期整備の組み方にも関係する項目です。ただし、片炉運転中に施設全体の定格能力160t/日を維持できるという意味ではありません。

DBO方式で設計・建設・運営をまとめて発注

DBOは、設計(Design)・建設(Build)・運営(Operate)をまとめて民間に担ってもらう方式です。

今回の実施方針では、市が資金を調達し、施設を所有します。特別目的会社(SPC)の設立は任意で、応募グループの提案に委ねられています。

実施方針上の運営期間は、2033年度末から2053年度末までの予定です。市公式ページの「2033年度中稼働予定」と合わせて読む必要があり、現時点で具体的な運転開始日まで確定したものとしては扱えません。

設備担当者が注目したいのは、建設と長期の維持管理が一つの事業として検討される点です。導入時の価格に加え、点検の手間、交換部品、修繕費まで含めた設備選定が読みどころになります。

ごみ発電の電力を松山中央公園へ供給

新施設では、焼却で発生する熱を使って発電し、施設内で使用する計画です。

さらに、自営線を新設して松山中央公園へ電力を供給し、余剰電力は売電する方針が示されています。自営線は、施設間で電気を送るために設ける専用の電線です。

地域への電力供給を担う設備では、焼却炉だけでなく、発電設備・受変電設備・供給先を含めた停止計画の調整も確認したいところです。これはFORGRAFT LABとしての保全上の着眼点で、具体的な運用方法は今後の資料で追う必要があります。

現場目線の注目点は「ごみクレーンの保全性」

要求水準書(案)の可燃ごみ処理施設の項目では、ごみクレーンに次の条件が示されています。

  • クレーンは2基設置する
  • 1基の運転で安定した焼却処理を支えられるようにする
  • 自動・半自動・手動操作に対応する
  • 走行・横行・巻上げはインバータ制御とする
  • 点検スペースと、バケット交換などに使う搬入搬出口を確保する

設備を動かす能力と、点検・交換できる構造を併せて求めている点が、保全担当者には参考になります。

例えば、クレーンを2基設けても、停止した1基がもう1基の作業範囲を妨げる配置では、運用上の制約が残ります。部品やバケットを交換するときも、搬出経路と作業スペースの確保が重要です。

これらは新設設備の計画だけでなく、既存施設の更新・改造を考える際にも使える確認項目です。なお、現段階でメーカーや定格荷重、モーター容量が確定したと解釈することはできません。

事業費は基本計画の参考概算と区別して読む

2025年公表の施設整備基本計画には、次の参考概算が記載されています。

区分基本計画の参考概算(税込み)
可燃ごみ処理施設の施設整備費315億1,400万円
粗大ごみ処理施設の施設整備費82億1,400万円
解体に係る施設整備費43億4,300万円

基本計画は、設計内容や物価変動などで金額が変わることを明記しています。上記は今回の落札額・契約額ではありません。 また、長期の運営費まで含めた契約総額として扱うこともできません。

今後の入札資料では、対象業務と金額の範囲をそろえて確認する必要があります。

今後の主な予定

実施方針に記載された主な日程は次のとおりです。

時期内容
2026年9月18日実施方針・要求水準書(案)を公表
2026年10月7日まで意見・質問の受付
2026年10月下旬質問への回答予定
2027年4月上旬入札公告予定
2027年12月上旬落札者の決定・公表予定
2028年3月下旬事業契約締結予定

2026年9月27日時点では、実施方針等に対する意見・質問を受け付けている段階です。今後は、質問回答による条件の明確化、入札時の仕様、選定された事業者の提案が主な確認ポイントになります。

まとめ|施設規模に加えて「維持管理できる設計」に注目

松山市の新南クリーンセンターは、ごみ処理広域化と老朽施設の建て替えを進める計画です。今回の実施方針等の公表で、事業者選定に向けた条件が具体化しました。

FORGRAFT LABとして注目したいのは、処理能力や事業費に加え、クレーンを止めたときの運用や、機器を交換するための空間まで計画に織り込まれていることです。

今後の入札・契約の続報では、メーカー名だけでなく、維持管理やエネルギー利用の提案にも目を向けていきます。

関連記事

名張市の地域エネルギーセンター構想|処理能力220t/日・2034年4月稼働を想定

参考・出典

タイトルとURLをコピーしました