名張市が「地域エネルギーセンター」構想 処理能力220t/日、民間資金・SPC活用で2034年4月稼働を想定

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三重県名張市で、新たな廃棄物処理施設「地域エネルギーセンター(仮称)」の整備に向けた動きが進んでいます。

名張市が2026年9月14日に更新した地域説明会の資料によると、建設候補地の一つとして伊賀南部浄化センター跡地を位置付け、隣接する薦原公園と一体で地域振興につなげる「薦原エネルギー・ネクサス・パーク構想」を提示しています。

計画で注目されるのは施設規模です。

構想案では、

  • 想定焼却量:200t/日
  • 想定処理能力:220t/日

とされており、現在の伊賀南部クリーンセンターの95t/日から大きく拡大する想定です。

さらに、自治体の一般廃棄物だけではなく、市外の一般廃棄物や一定の産業廃棄物も受け入れながら処理量を確保し、民間資金を活用した公民連携方式で整備・運営する構想が示されています。

現在の伊賀南部クリーンセンターは2034年3月末が操業期限

現在、名張市の一般廃棄物の焼却・破砕・選別などを担っているのが伊賀南部クリーンセンターです。

同施設は2009年2月に竣工し、

  • 焼却能力:47.5t/24h×2炉
  • 合計処理能力:95t/日
  • 焼却方式:流動床式ガス化溶融炉

となっています。

一方、地元との協定による操業期限は2034年3月末。

そのため名張市では、現在の施設に代わる将来のごみ処理体制について検討を進めています。

新たな地域エネルギーセンターについては、2034年4月の供用開始が目標とされています。

「ごみ処理施設」から「地域エネルギーセンター」へ

名張市が示す構想では、新施設を単純な焼却施設として位置付けていません。

ごみを燃やした際に発生するエネルギーを最大限回収し、

  • 高効率発電
  • 周辺への熱供給
  • 防災時のエネルギー供給
  • 地域振興

などへ活用する「地域エネルギーセンター」とする考えです。

従来型のごみ処理施設が「廃棄物の適正処理・減容化」を中心とするのに対し、新施設では**「資源を創り出し、地域に活かす拠点」**を目指しています。

隣接する薦原公園についても地域振興拠点として活用し、エネルギー、地域交流、企業誘致などを組み合わせた「薦原エネルギー・ネクサス・パーク」を構想しています。

焼却量200t/日、処理能力は220t/日

今回の構想で特に目を引くのが規模です。

名張市が地域向けに示した資料では、

項目想定
焼却量200t/日
処理能力220t/日
現伊賀南部クリーンセンター95t/日

とされています。

ここで注意したいのが、「焼却量200t/日」と「処理能力220t/日」は別の数字という点です。

施設そのものは最大220t/日の処理能力を想定し、実際に確保する搬入廃棄物量として200t/日を想定しています。

なぜ名張市だけで200t/日必要なのか

名張市自身のごみだけを処理するのであれば、200t/日はかなり大きな規模です。

これについて市は、民間資金による公民連携事業を成立させるためには、日量200t程度の処理量を確保する必要があると説明しています。

想定される搬入物は、

名張市の一般廃棄物
→ 市外の一般廃棄物
→ 産業廃棄物
→ 必要に応じて災害廃棄物

という構成です。

名張市は2026年4~6月に民間事業者を対象としたサウンディング型市場調査も実施しました。

参加したのは2社で、事業者名は非公表です。

調査では施設規模や処理方式、廃棄物の種類、処理残さの処分、環境対策、事業継続、地域貢献などについて提案を受けています。

具体的な事業者の提案内容はノウハウや知的財産を含むため公開されていませんが、市は調査結果を今後の事業検討に活用するとしています。

産業廃棄物も受け入れる構想

計画では、市外の一般廃棄物に加えて産業廃棄物の受け入れも想定しています。

ただし、あらゆる産業廃棄物を受け入れるわけではありません。

市の説明では、一般廃棄物と性状が似ているものを基本とし、市と地域が事前に協議して承認したもののみを対象としています。

例として、

  • 木くず
  • 紙くず
  • 食品残さ
  • 廃プラスチック類

などが挙げられています。

瓦礫やコンクリートなどについては受け入れない方針です。

搬入前の資料確認や契約確認、受入時の現物確認などを組み合わせ、産業廃棄物についてはマニフェストによる管理も行うとしています。

民間資金で建設・運営する「公民連携方式」

もう一つ特徴的なのが事業方式です。

2026年4月に実施されたサウンディング調査では、

調査・計画・設計から建設、運営にかかる費用を民間資金で実施する「公民連携方式」

を前提としています。

一般的な自治体ごみ処理施設で採用されるDBO方式とは異なり、今回の名張市構想では民間企業誘致という色が強いのが特徴です。

施設も事業者が所有し、事業者主体で運営する想定です。

一方、市がごみ処理に対する責任から離れるわけではありません。

市もSPCへ出資する構想

構想案では、事業実施のため**特別目的会社(SPC)**などを設立することも想定されています。

さらに特徴的なのが、名張市自身もSPCに出資する考えを示している点です。

市は出資者として運営方針へ関与し、ごみ処理サービスの安定性を確保するとしています。

地域説明会のQ&Aでは、

  • 市がSPCの運営に内部から参画
  • 市が大きな発言権を持つ仕組みを検討
  • 市による施設への立入確認
  • 月1回程度のモニタリング会議
  • 三重県との連携

などによる監視体制を構築する方針も示されました。

事業期間は少なくとも30年間を想定

新施設稼働後の事業期間について、市は少なくとも30年間を想定しています。

30年経過後については施設を単純に解体することだけを前提とせず、施設の状態や社会状況などを踏まえ、継続利用を含めて検討するとしています。

長期間にわたる民間事業となるため、事業者の経営状況についても市がモニタリングを行い、事業継続が難しくなった場合の介入や代替事業者への引き継ぎについて、協定で定める考えです。

事業者は公募型プロポーザルで選定へ

今後の事業者選定では、単純な最低価格方式ではなく、公募型プロポーザル方式を採用する方針が示されています。

評価対象として、

  • 価格
  • 安全性
  • 環境への配慮
  • 地域貢献
  • 技術力・実績

などを総合的に見る考えです。

構想案のスケジュールでは、2026年9月~10月中旬に事業者の公募・選定を行い、10月下旬に基本協定を締結する計画が示されています。

ただし、このスケジュールについて市は**「あくまで見込みであり確定したものではない」**と明記しています。

2026年9月16日時点で、名張市公式サイト上では今回の地域エネルギーセンター事業者の正式な公募公告は確認できていません。

ここは今後の大きな注目ポイントになりそうです。

建設工事は2030年度以降を想定

構想案では今後、

2026年度
事業者公募・選定、基本協定・実施協定

2027年度以降
事業設計、環境影響評価など

2030年度以降
地域エネルギーセンター建設工事

2034年4月
地域エネルギーセンター稼働開始

という流れが想定されています。

現在の伊賀南部クリーンセンターの操業期限が2034年3月末なので、ほぼ切れ目なく新施設へ移行するスケジュールです。

FORGRAFT LAB注目ポイント

今回の計画は、一般的な自治体の新ごみ焼却施設とは少し異なります。

特に注目したいのは、

「自治体施設をDBOで更新する」のではなく、民間資金による公民連携で220t/日の大型施設を整備し、市外一般廃棄物や産業廃棄物まで受け入れて事業として成立させる構想

になっていることです。

さらに市がSPCへ出資し、長期間にわたって運営へ関与する仕組みも検討されています。

今後、事業者公募が始まれば、

どのプラントメーカー・事業者が参加するのか
どの焼却方式が採用されるのか
建設・運営費はいくらになるのか
220t/日の大型施設をどのような事業スキームで成立させるのか

が大きな焦点になります。

FORGRAFT LABでは、事業者公募、選定結果、基本協定締結など今後の動きも追っていきます。

参考・出典

名張市|地域への説明会について(2026年9月14日更新)
地域説明会の日程、Q&A、200t/日が必要とされる理由、SPC、市の監視体制、公募型プロポーザルなどを確認。
名張市公式「地域への説明会について」

名張市|サウンディング型市場調査の実施結果
2026年4~6月に実施。参加事業者は2社、事業者名は非公表。 名張市公式ウェブサイト

名張市公式「サウンディング型市場調査」

名張市|地域エネルギーセンター(仮称)等整備・運営事業概要
民間資金による公民連携方式、対象廃棄物、2034年4月の供用開始目標などを確認。 名張市公式ウェブサイト

名張市|薦原エネルギー・ネクサス・パーク構想案
想定焼却量200t/日、処理能力220t/日、SPCへの市の出資、事業スケジュールなどを確認。 名張市公式ウェブサイト

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